名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

 ◇
 
(本当に来ちゃった……)
 
 手紙を見つけてから三日後の昼、雛未はドキドキしながらベリが丘駅の西口ロータリーに立っていた。
 自分でとった行動なのに、自分が一番驚いている。
 ベリが丘までやって来る前、若狭議員の現在の容体についてできる限り調べてみたが、インターネットの中にはろくな情報がなかった。
 ニュースサイトも日に日に扱いが小さくなっていき、居ても立っても居られなくなった雛未は何かに、追い立てられるようにしてベリが丘を訪れた。

(えっと……。ベリが丘病院まではどうやって行くんだろう?)
 
 雛未はウロウロとベリが丘駅の中を彷徨い歩いた。
 ベリが丘に来たのは完全に思いつきだ。下調べも計画も一切ない。
 急に出立を決めたこともあり、目ん玉が飛び出るくらい高い飛行機代を払わされ、予算もカツカツだ。
 手痛い出費をしてここにやってきた以上、なんの成果もなく帰ることは許されない。

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