名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
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「こんにちは、雛未さん!」
「こんにちは、純華さん」
純華は弾んだ声でハキハキと挨拶をして受付を済ませると、今日も若狭議員の待つ三号室へ向かった。
若狭議員が目を覚ました三号室には、かつて漂っていたもの悲しい雰囲気は一切なくなった。
昏睡状態から目覚めた若狭議員は、誰もが驚く目覚ましい回復を見せた。
左半身に麻痺が残ったものの、食事や排せつに問題はなく、リハビリの成果次第ではこれまでと同じ生活を送れることが可能だそうだ。
精密検査を終え、順調に回復に向かっている今はベリが丘病院に併設されているリハビリ施設に週三回通っている。
本人の意欲と純華を始めとする家族の献身的なサポートもあり、リハビリは順調に進んでいるという。
――すべて祐飛から聞いた話だ。
(私は何をしているんだろう……)
日に日に生き生きと輝いていく純華とは対照的に、雛未の表情は暗く翳っていった。
若狭議員の奇跡の生還は喜ばしいはずなのに、自分だけお祝いムードの蚊帳の外にいるような気がしてならない。