名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「ダ、ダメ……っ!」
雛未は顔を真っ赤にさせ、スカートを捲られないように手で押さえながらイヤイヤと首を横に振った。
ショーツまで脱がされてしまったら、雛未の貞操を守るものがなくなってしまう。
往生際悪く最後の抵抗を試みた雛未を眺め、男は苛立ちを抑えるようにふうっと長く息を吐き出した。
「……煽るなよ」
煽ってなどいないと抗議の声を上げようとしたその時、男は雛未の耳に唇を寄せこう言った。
「俺達、もう夫婦だろう?」
「ゆ、祐飛さん……」
この日、雛未は二十九年間慣れ親しんだ雨宮姓から、祐飛と同じ不破姓へと苗字が変わった。
さも当たり前のように、夫婦になったことを盾にされては、雛未は太刀打ちできない。
「ひゃっ!」
祐飛から耳たぶを甘噛みされ、雛未はビクンと肩をすくませた。
「身体の方が素直だな」
この時ばかりは、祐飛の愛撫に素直に反応する身体が憎くなった。満足げに口角を上げる祐飛をぼうっと見上げていると、再び唇が重ねられた。
祐飛の舌が口内を縦横無尽に暴れ回っていく。
恐る恐るその動きに身を任せると、良い子だと褒めるように頬をするりと撫でられた。
(ずるい……)
やっていることは強引そのものなのに、ふいに優しくされるとつい心を許してしまいそうになる。