名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
3.新妻のお仕事
「不破雛未です。本日よりこちらに勤務させていただきます。よろしくお願いします」
入職の挨拶をし雛未が頭を下げると、総合棟の一階、事務室からはまばらに拍手が起こった。
ベリが丘病院への初出勤は、あの蕩けるような初夜から五日後のことだった。
祐飛は約束通り、雛未を雇い入れるよう病院側に交渉してくれた。
驚くべきことだが、履歴書を提出して数日の内に面接もなしに特別室の受付兼アテンドとして採用されるに至った。
挨拶を終えた雛未に、ひとりの女性が歩み寄る。
「同僚の熊谷茉莉です。分からないことがあったら聞いてくださいね!」
「よろしくお願いします」
茉莉はそばかすと明るい人柄が魅力的な女性だった。焦げ茶色の髪をサイドでシニョンにしたヘアスタイル。たぬきのような垂れ目でニコリと笑いかけられる。
互いに挨拶を済ませると雛未は早速、茉莉に先導され病院内を歩き始めた。