名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

「よし、玄関はこんなもんかな?」

 雛見は一時間ほどかけて必要な物と捨てる物を選り分けた。
 靴を靴箱に戻していくと、随分と小綺麗になったように感じた。

(この調子でドンドンやるぞ!)

 ひとつ片付けたら俄然やる気がみなぎってきた。
 雛未は次の掃除場所を探しに、家の中を再び歩き始めた。
 この家はもともと祖父が建てたもので、年季が入っているだけあって、不要なものをしこたま溜め込んでいた。
 雛未は次の標的を長らく開かずの扉となっていた客間の押入れに絞り込んだ。
 予想通り、押入れの中からは、在りし日を追想させる思い出の品々が発掘されていった。

 大きな収納ケースの中には、おままごとの人形、キャラクターのぬいぐるみ、祖父が大事にしていた九谷焼の器などが雑多に放り込まれていた。
 そして、思い出の品々に混じるように、藍色のクッキー缶がふたつ入っていた。
 何が入っているか確認すべくクッキー缶を空けると、雛未が子どもの時に作った押し花が器いっぱいに収まっていた。
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