名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

「あの……雛未さんは、どうやって祐飛くんと知り合ったんですか?」
「祐飛さんが学会で地方に来た時に、たまたま食事の席が一緒になったの。それから、メッセージのやりとりを続けて……」

 いつか誰かに聞かれると予想して、祐飛と事前に打ち合わせを済ませておいて本当によかった。
 事実に反するエピソードが、まるで本当の出来事かのようにスラスラと出て来る。
 
「じゃあ、ずっと遠距離恋愛だったんですか?」
「うん。そうだよ」

 雛未は素知らぬ顔で頷いた。
 もちろん、真っ赤な嘘に決まっている。
 人を疑う事を知らない純華に嘘をつくのは大変心苦しいが仕方ない。

「不安になりませんでした?」
「んー。あんまり?祐飛さんのことは信頼しているから」
「すごいわ、雛未さん……。きっと私だったら直ぐに根を上げてしまう……」

 純華はほうっとため息をついた。

「あはは……」
 
 尊敬の眼差しを一身に受けた雛未の心が、更にズキンと痛んでいく。
 雛未を信用しきっている純華に対して罪悪感すら覚えてしまう。

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