名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
ティースタンドが殆ど空になったところで、純華はカップをテーブルに置き、おもむろにこう言った。
「実は雛未さんにお聞きしたいことがあるんです」
覚悟を決めたように、真っ直ぐ雛未を見つめるその瞳に迷いはなかった。
「私で答えられることなら何でも聞いて!」
嘘をついてしまった罪滅ぼしと言わんばかりに、雛未は前のめりになって了承した。
「どうやって祐飛くんを夢中にさせたんですか?」
一瞬、空気が止まる。
純華は至極真面目な顔で尋ねている。ふざけているようには思えない。
「聞きたいことって……それ?」
「だって!職場で堂々と雛未さんを抱き寄せるなんて!いつもの祐飛くんからは考えられないです!」
「あれはたまたまだから!」
雛未が落ち込んでいたところに、たまたま祐飛が遭遇した結果、あのような事態になっただけで。
あくまで人助けの範疇で慰めようとしてくれただけで、そこに愛はない。
ましてや夢中にさせているなんて、勘違いも甚だしい。
偶然だと主張すると、純華は更にぐいぐいと詰め寄ってきた。