名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「祐飛くんって学生の時からモテていたんですけど、女性とお付き合いすることにあまり乗り気じゃないというか……。だから結婚したって聞いてとっても驚きました!」
「あ、そっか。三人とも幼馴染だもんね」
「はい。元々、私は聖くんのお母様にピアノのレッスンをつけていただいていたんです。毎週、レッスンに通っているうちに、二人とも仲良くさせてもらって……よく一緒に遊んでもらいました」
幼少期の三人を想像するだけで微笑ましい。
純華が姫なら、聖は姫に寄り添う王子、祐飛は姫を守る騎士だ。
「だから雛未さんに教えてもらいたいんです。どんな風にして祐飛くんと恋人になったんですか?どうやったらその気のない男性を誘惑できるんですか?教えてください!」
教えてと言われても、交際ゼロ日の打算だらけの結婚に、どんな手練手管を使ったか聞かれても答えようがない。
しかし、藁にもすがる勢いで教えを乞う純華の必死な様子に、これまでの会話と違うものを感じた。
雛未をからかうためだけに、こんなことを尋ねているとは思えなかった。
「純華さんには誘惑したい男性がいるの?」
聖と結婚しているのに、男性を誘惑したいと言い出すなんて絶対におかしい。純華が奔放な人にはとても見えない。
すると突然、純華の目からポロリと涙が溢れた。