名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「私……。聖くんに避けられているんです……」
「避けられてるって?」
「私、一度も聖くんと夜の営みをしたことがないんです。キスも結婚式で一度したきりで……」
純華はハンカチで目元を拭いながら、説明してくれた。
「若狭家は代々、政治家なんです。一人娘の私は婿養子をもらう義務があると言い聞かされて育ちました。二十歳を過ぎた頃から頻繁にお見合いをさせられて、でもなかなか相手の方が決まらなくて……。お父様と同じ歳で古くからの政友の方との婚約が決まりそうだった時、聖くんが助けてくれたんです」
ベリが丘きっての名士であるという四季杜財閥、現総帥の次男。
誰もが振り返る美丈夫であり、政治家としての素質も抜群。
聖の婿入りは、若狭家にとってメリットしかなく、歓迎されたという。
「聖くんのことが好きだったから、結婚できて嬉しかったのに何もしてもらえなくて!私に魅力がないから……!」
にわかには信じられない話だった。
こんな可憐な美女と結婚しておきながら、一度も手を出さないなんてことがありえるのか?