名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
(この人が可愛い新妻を泣かせるまで放置しているの?)
純華から話を聞いていなければ、好青年という印象は書き換わらなかっただろう。
男前というセリフが似合う祐飛とは系統が異なり、聖は洗練された印象のある優男だ。
爽やかなネイビーのスーツ姿は夏の暑さを一切感じさせず、美麗な面差しには、王子様然とした柔らかな笑みをたたえている。
三百六十度どこを切り取っても隙がない。
もしこの人が選挙に出馬しようものなら、女性からの圧倒的な支持は約束されたも同然だ。
「よかったらまた遊んでやってくれる?純華はそんなに友人が多い方ではないんだ」
「はい」
面会の手続きを終えた雛未は聖にIDカードを渡した。
「お帰りの際はカードをカウンターまでご返却ください」
「ありがとう」
聖はカードを受け取ると、カウンターに肘を置き、まじまじと雛未を見下ろした。
「君はこの辺りの出身じゃないよね。イントネーションに西の訛りがある」
「よくお気づきですね」
顔だけでなく、頭も切れる男だ。
若狭議員の私設秘書として、はたまた義理の息子として、出身地も様々な議員たちと接触してきた賜物だろう。