まだあなたを愛してる〜離縁を望まれ家を出たはずなのに追いかけてきた夫がめちゃめちゃ溺愛してきます〜
すごく気になっていたからか、私の声はいつもより低くなった。
「クリスタは……先にレイズの屋敷に来ていたんだ。それで、いろいろあって……」
「いろいろ?」
「その……」
私には言えない事でもあるのだろうか? ジェイドは急に言葉を詰まらせる。
代わりに教えてもらおうとエマに顔を向けた。
「あの子、騒がしかったの。だからちょっと魔法をかけて。それで……連れて来たのよ」
含みのある話し方をしたエマは作り笑いを浮かべた。
クリスタ様が騒がしかったからそれで連れてきた?
……分からない。
私はもう一度ジェイドの顔を覗き込んだ。
「ジェイド?」
(何か隠している?)
ジェイドは私の目を見つめたまま無理に口角を上げて見せた。
おかしい……。
こんな表情をする彼を私ははじめてみる。
何か言えない事がレイズ侯爵邸で起きたの?
(もしかしたら、義両親との話は上手くいかなかったのでは……)
「ジェイド、お義父様達は何と言われたの? やっぱり私ではあなたの妻として認められないと言われたの? もう一度クリスタ様と結婚するように言われたのでしょう。だから連れて……でもクリスタ様はサムス公爵様の所へ……」
(クリスタ様は捕らえられてしまった。それに私、彼女の加護の力を失わせてしまって……)
「ああ、その違うんだ。そうじゃなくて」
ジェイドは慌てて首を横に振り、両親との話は無事に済みクリスタ様はアーソイル公爵との関わりを確かめる為に連れてきただけだと言った。
ただ、その目はなぜか泳いでいるように見える。
──今話した事は、私を不安にさせない為の嘘かも知れない。
「いいの、ジェイド。無理はしないで……。たとえ義両親がまだ離縁を望まれていたとしても、ジェイドが愛してくれる限り、私は別れる気持ちはないと伝えられるから」
私達のやり取りを見ていたギルが肩を揺らし笑い出した。
「違うよ、ローラ。ジェイドはね、早くローラと二人になりたいんだよ。これまで待っていたし、それに今日はいろいろあったからね。ジェイド、今の君の気持ち僕には分かるよ」
「気持ち?」
二人になりたいと言ってくれるのは嬉しいけれど。
どういう事かと首を傾げると、ギルはスッとエマの腰を抱いた。
「魔法使いはね、感情を昂らせて魔法を使うと、どういう訳か欲求が増すんだよね」
そう言って満面の笑みを浮かべる。
「え……」
「ほら、疲れた時は本能的にやりたくなるだろう?」
「本能的に?」
疲れた時……そういうものなの?
「あれ? 女性はそういう事ないの? エマはあるよね?」
ギルはエマの目元にキスを落としいたずらに笑う。
恥ずかしそうに顔を赤らめたエマは「ちょっと、ローラの前ではしないで。娘に見られるのは恥ずかしいのよ」と声を潜めた。
……そういう事だったのね。
理由を知ると途端に恥ずかしい気持ちになった。
「クリスタは……先にレイズの屋敷に来ていたんだ。それで、いろいろあって……」
「いろいろ?」
「その……」
私には言えない事でもあるのだろうか? ジェイドは急に言葉を詰まらせる。
代わりに教えてもらおうとエマに顔を向けた。
「あの子、騒がしかったの。だからちょっと魔法をかけて。それで……連れて来たのよ」
含みのある話し方をしたエマは作り笑いを浮かべた。
クリスタ様が騒がしかったからそれで連れてきた?
……分からない。
私はもう一度ジェイドの顔を覗き込んだ。
「ジェイド?」
(何か隠している?)
ジェイドは私の目を見つめたまま無理に口角を上げて見せた。
おかしい……。
こんな表情をする彼を私ははじめてみる。
何か言えない事がレイズ侯爵邸で起きたの?
(もしかしたら、義両親との話は上手くいかなかったのでは……)
「ジェイド、お義父様達は何と言われたの? やっぱり私ではあなたの妻として認められないと言われたの? もう一度クリスタ様と結婚するように言われたのでしょう。だから連れて……でもクリスタ様はサムス公爵様の所へ……」
(クリスタ様は捕らえられてしまった。それに私、彼女の加護の力を失わせてしまって……)
「ああ、その違うんだ。そうじゃなくて」
ジェイドは慌てて首を横に振り、両親との話は無事に済みクリスタ様はアーソイル公爵との関わりを確かめる為に連れてきただけだと言った。
ただ、その目はなぜか泳いでいるように見える。
──今話した事は、私を不安にさせない為の嘘かも知れない。
「いいの、ジェイド。無理はしないで……。たとえ義両親がまだ離縁を望まれていたとしても、ジェイドが愛してくれる限り、私は別れる気持ちはないと伝えられるから」
私達のやり取りを見ていたギルが肩を揺らし笑い出した。
「違うよ、ローラ。ジェイドはね、早くローラと二人になりたいんだよ。これまで待っていたし、それに今日はいろいろあったからね。ジェイド、今の君の気持ち僕には分かるよ」
「気持ち?」
二人になりたいと言ってくれるのは嬉しいけれど。
どういう事かと首を傾げると、ギルはスッとエマの腰を抱いた。
「魔法使いはね、感情を昂らせて魔法を使うと、どういう訳か欲求が増すんだよね」
そう言って満面の笑みを浮かべる。
「え……」
「ほら、疲れた時は本能的にやりたくなるだろう?」
「本能的に?」
疲れた時……そういうものなの?
「あれ? 女性はそういう事ないの? エマはあるよね?」
ギルはエマの目元にキスを落としいたずらに笑う。
恥ずかしそうに顔を赤らめたエマは「ちょっと、ローラの前ではしないで。娘に見られるのは恥ずかしいのよ」と声を潜めた。
……そういう事だったのね。
理由を知ると途端に恥ずかしい気持ちになった。