まだあなたを愛してる〜離縁を望まれ家を出たはずなのに追いかけてきた夫がめちゃめちゃ溺愛してきます〜
5 力を持つ者
「そう、なるほどだからここを……」
「あの……?」
私からこの場所を教えた人物の名前を聞いたエマは、ブツブツと顔を顰めなにやら呟いた。
エマはギルと共に、真正面から私を見る。
彼女のその瞳は、ジェイドとよく似た美しい新緑色。
「あなたは『レイズ侯爵』の者と結婚したのね?」
「はい。レイズ侯爵の次男、ジェイド・レイズ様と結婚していました」
今朝まで……。
エマはコクコクと頷き少しだけ前のめりになる。
「では、彼らが魔力を持っている事は?」
「魔力持ちだった、とひと月前に聞きました」
私が答えると、エマとギルは同時に頷いた。
「だった、という事は今の彼らには魔力はないのね?」
「はい。ジ……元夫の曽祖父の代から失われたと聞いています」
エマは何度も頷く。
「その魔力を封印したのは私なの」
「え?」
確か侯爵夫妻は『どういう訳か、先々代から力が失われてしまった』と言っていた。
驚いている私を見たエマはニッコリと笑う。
「私はね『始まりの魔女』と呼ばれる今のところ、この世でただ一人の女性の魔法使いよ。そしてレイズ侯爵の親族になるわ。うーん、簡単にいうと始祖?」
「始祖?」
それって……?
「私はね、もう自分でも何歳か分からないほどの時を生きているの」
「あの……?」
私からこの場所を教えた人物の名前を聞いたエマは、ブツブツと顔を顰めなにやら呟いた。
エマはギルと共に、真正面から私を見る。
彼女のその瞳は、ジェイドとよく似た美しい新緑色。
「あなたは『レイズ侯爵』の者と結婚したのね?」
「はい。レイズ侯爵の次男、ジェイド・レイズ様と結婚していました」
今朝まで……。
エマはコクコクと頷き少しだけ前のめりになる。
「では、彼らが魔力を持っている事は?」
「魔力持ちだった、とひと月前に聞きました」
私が答えると、エマとギルは同時に頷いた。
「だった、という事は今の彼らには魔力はないのね?」
「はい。ジ……元夫の曽祖父の代から失われたと聞いています」
エマは何度も頷く。
「その魔力を封印したのは私なの」
「え?」
確か侯爵夫妻は『どういう訳か、先々代から力が失われてしまった』と言っていた。
驚いている私を見たエマはニッコリと笑う。
「私はね『始まりの魔女』と呼ばれる今のところ、この世でただ一人の女性の魔法使いよ。そしてレイズ侯爵の親族になるわ。うーん、簡単にいうと始祖?」
「始祖?」
それって……?
「私はね、もう自分でも何歳か分からないほどの時を生きているの」