まだあなたを愛してる〜離縁を望まれ家を出たはずなのに追いかけてきた夫がめちゃめちゃ溺愛してきます〜
17それぞれの思い
エマは水晶玉に両手を乗せ呪文を唱えだした。
水晶玉の中に雲が渦巻き、それが消えると扇で使用人を打ち据えるクリスタ様の姿が映った。
「何か言っているわ」
水晶玉から片手を離し、エマは空中に文字を描く。すると水晶玉から声が聞こえはじめる。
『お前たちがしっかり捕まえておかないから、魔女に私のジェイドを奪われたじゃない!』
『申し訳ありません、申し訳ありません! どうかお許しを……』
平伏して謝る使用人の背中に、怒りに震えるクリスタ様の扇が容赦なく振り下ろされる。
「怖い女。でも私が奪ったと言っているところをみると、ジェイドが魔法を使ったとは思っていないみたいね」
二人の使用人を打ち据える光景は見ていられるものではなく、エマは映像を消した。
「……レイズ侯爵の様子も見てみようかしら」
何か気になったのか、エマは呪文を唱えた。
水晶玉にレイズ侯爵邸が映る。さらに呪文を唱えると屋敷の中にいたレイズ侯爵夫妻が映った。
レイズ夫人は赤い長椅子に座っている。夫人は泣いているのだろうか、両手で顔を覆い肩を震わせていた。
その向かいではレイズ侯爵が広いソファーに座り、片手を額にあて天を仰いでいる。
『まったく、私達は愚かな事を……あの子を追い出してしまうとは』
ハッと顔を上げた夫人は目を見開いている。泣いていた訳ではなかったようで、その目に涙はなかった。
『ジェイドは、あの子を連れて帰って来るわよね?』
『ああ、必ず』
『そう、そうよね。帰ってきたら謝らなければ。あの子は許してくれるかしら』
『離縁を告げたことをか?』
『そうよ、それに修道院へ送った事も』
『実際には離縁はしていないのだし、ジェイドは迎えに行ったのだ。もちろん許すだろう、あれは優しい子だから』
『そうね、それに預かっている結婚指輪も返さなければ……』
夫人の手のひらには、私の結婚指輪が輝いている。
エマは水晶玉に近づきまじまじと覗くと顔を顰めた。
「どういう事? 何を言っているの?」
ギルは腕を組み、冷たい目を向けている。
「……信用できない」
吐き捨てるように言ったジェイドは、苦い顔をした。
水晶玉の中に雲が渦巻き、それが消えると扇で使用人を打ち据えるクリスタ様の姿が映った。
「何か言っているわ」
水晶玉から片手を離し、エマは空中に文字を描く。すると水晶玉から声が聞こえはじめる。
『お前たちがしっかり捕まえておかないから、魔女に私のジェイドを奪われたじゃない!』
『申し訳ありません、申し訳ありません! どうかお許しを……』
平伏して謝る使用人の背中に、怒りに震えるクリスタ様の扇が容赦なく振り下ろされる。
「怖い女。でも私が奪ったと言っているところをみると、ジェイドが魔法を使ったとは思っていないみたいね」
二人の使用人を打ち据える光景は見ていられるものではなく、エマは映像を消した。
「……レイズ侯爵の様子も見てみようかしら」
何か気になったのか、エマは呪文を唱えた。
水晶玉にレイズ侯爵邸が映る。さらに呪文を唱えると屋敷の中にいたレイズ侯爵夫妻が映った。
レイズ夫人は赤い長椅子に座っている。夫人は泣いているのだろうか、両手で顔を覆い肩を震わせていた。
その向かいではレイズ侯爵が広いソファーに座り、片手を額にあて天を仰いでいる。
『まったく、私達は愚かな事を……あの子を追い出してしまうとは』
ハッと顔を上げた夫人は目を見開いている。泣いていた訳ではなかったようで、その目に涙はなかった。
『ジェイドは、あの子を連れて帰って来るわよね?』
『ああ、必ず』
『そう、そうよね。帰ってきたら謝らなければ。あの子は許してくれるかしら』
『離縁を告げたことをか?』
『そうよ、それに修道院へ送った事も』
『実際には離縁はしていないのだし、ジェイドは迎えに行ったのだ。もちろん許すだろう、あれは優しい子だから』
『そうね、それに預かっている結婚指輪も返さなければ……』
夫人の手のひらには、私の結婚指輪が輝いている。
エマは水晶玉に近づきまじまじと覗くと顔を顰めた。
「どういう事? 何を言っているの?」
ギルは腕を組み、冷たい目を向けている。
「……信用できない」
吐き捨てるように言ったジェイドは、苦い顔をした。