まだあなたを愛してる〜離縁を望まれ家を出たはずなのに追いかけてきた夫がめちゃめちゃ溺愛してきます〜
二週間が過ぎる頃。
ジェイドは、なんとか昼の間は起きていられるようになった私を心配しながら、再び仕事へ行きはじめた。
――ジェイドが仕事に行くようになり、一週間が過ぎた頃。
彼が家からいなくなるのを見計らったように、お義母様が訪ねて来た。
売ってしまった石の代わりにと渡したあの石を、返して欲しいと言われ、代わりにとまた違う石を渡された。
「ごめんなさいね。この石がどうしても必要になってしまったの。そう、この色じゃないといけないのよ」
私が渡した石を見たお義母様は、顔を輝かせる。
不思議だった。
代わりにと渡された石も、私には同じような緑色の石に見えたから。
お義母様は窓辺に行き、受け取った石を太陽に当て確かめる様に見て、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「誰かの贈り物にされるのですか?」
『この色』という事は、誰かの贈り物にでもされるのだろうか? そう思って聞いてみたけれど、私から何かを尋ねられると思っていなかったのか、お義母様はびくっと体を震わせた。
「え? あ、ああ、そうよ。……姉の誕生日がもうすぐなの。この色が姉の瞳の色に一番近いから」
「そうだったんですね」
誕生日に瞳の色の贈り物をするなんて、とても仲がよくて羨ましい。
私にもお姉様はいたけれど、贈り物を渡し合うどころか、会う事も話す事もなかったから。
何気なく新しく手渡された石を手のひらにのせた。
端の方に欠けを見つけた私は、キレイになりますようにと心で願った。
石はふわりと光を放つ。
ハッと顔を上げ、お義母様を見た。
お義母様はまだ受け取った石を嬉しそうに眺めている。
(よかった……。気づかれなかったみたい……)
『力』が強くなったからか、近頃は言葉にせずとも手で触れ心で願うだけで加護の力を使えるようになっていた。
けれど、その場で変化が起きたりする事はない。
願う物や大きさにもよるが、手に乗るほどのものならば、一時間ほど後から変化が始まる。
私は、願いをかけてしまった石を気づかれないように、スカートのポケットに仕舞い入れた。
エマ達から、現れた力は隠しておいた方がいいと言われていた。
ジェイドの魔力も、両親であるレイズ侯爵夫妻にだけは見つからない様にと言われている。
彼が魔力を持ったと知れば、あの二人は何を言い出すか、何をするか分からないからと言っていた。
満足した様子のお義母様は、持参していた箱に石を仕舞い込んだ。
「ローラさん、私が石を換えに来たことはジェイドには言わないでいて欲しいの」
「どうしてですか?」
「あの子、私があなたの石を売ったことをまだ怒っているでしょう? それなのにまたここへ来て、石を取り換えたなんて知ったら……」
お義母様は、口許を押さえ目を伏せる。
「そうですね。……分かりました」
確かに、一度は仕方ないと諦めたジェイドだったが、ご両親に対して怒っている事には変わりなかった。
あの石は、私へお守りとくれたもの。
友人であるマックス様と一緒にいくつかの店を回り、自分の瞳の色に近い物を見立ててもらったという思い入れもあったのだと話してくれた。
笑みを浮かべたお義母様は「あなたは優しいのね」と微笑んで、箱を大切そうに抱き抱えた。
それから、出したお茶を飲むことなく、忙しそうに帰っていかれた。
ジェイドは、なんとか昼の間は起きていられるようになった私を心配しながら、再び仕事へ行きはじめた。
――ジェイドが仕事に行くようになり、一週間が過ぎた頃。
彼が家からいなくなるのを見計らったように、お義母様が訪ねて来た。
売ってしまった石の代わりにと渡したあの石を、返して欲しいと言われ、代わりにとまた違う石を渡された。
「ごめんなさいね。この石がどうしても必要になってしまったの。そう、この色じゃないといけないのよ」
私が渡した石を見たお義母様は、顔を輝かせる。
不思議だった。
代わりにと渡された石も、私には同じような緑色の石に見えたから。
お義母様は窓辺に行き、受け取った石を太陽に当て確かめる様に見て、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「誰かの贈り物にされるのですか?」
『この色』という事は、誰かの贈り物にでもされるのだろうか? そう思って聞いてみたけれど、私から何かを尋ねられると思っていなかったのか、お義母様はびくっと体を震わせた。
「え? あ、ああ、そうよ。……姉の誕生日がもうすぐなの。この色が姉の瞳の色に一番近いから」
「そうだったんですね」
誕生日に瞳の色の贈り物をするなんて、とても仲がよくて羨ましい。
私にもお姉様はいたけれど、贈り物を渡し合うどころか、会う事も話す事もなかったから。
何気なく新しく手渡された石を手のひらにのせた。
端の方に欠けを見つけた私は、キレイになりますようにと心で願った。
石はふわりと光を放つ。
ハッと顔を上げ、お義母様を見た。
お義母様はまだ受け取った石を嬉しそうに眺めている。
(よかった……。気づかれなかったみたい……)
『力』が強くなったからか、近頃は言葉にせずとも手で触れ心で願うだけで加護の力を使えるようになっていた。
けれど、その場で変化が起きたりする事はない。
願う物や大きさにもよるが、手に乗るほどのものならば、一時間ほど後から変化が始まる。
私は、願いをかけてしまった石を気づかれないように、スカートのポケットに仕舞い入れた。
エマ達から、現れた力は隠しておいた方がいいと言われていた。
ジェイドの魔力も、両親であるレイズ侯爵夫妻にだけは見つからない様にと言われている。
彼が魔力を持ったと知れば、あの二人は何を言い出すか、何をするか分からないからと言っていた。
満足した様子のお義母様は、持参していた箱に石を仕舞い込んだ。
「ローラさん、私が石を換えに来たことはジェイドには言わないでいて欲しいの」
「どうしてですか?」
「あの子、私があなたの石を売ったことをまだ怒っているでしょう? それなのにまたここへ来て、石を取り換えたなんて知ったら……」
お義母様は、口許を押さえ目を伏せる。
「そうですね。……分かりました」
確かに、一度は仕方ないと諦めたジェイドだったが、ご両親に対して怒っている事には変わりなかった。
あの石は、私へお守りとくれたもの。
友人であるマックス様と一緒にいくつかの店を回り、自分の瞳の色に近い物を見立ててもらったという思い入れもあったのだと話してくれた。
笑みを浮かべたお義母様は「あなたは優しいのね」と微笑んで、箱を大切そうに抱き抱えた。
それから、出したお茶を飲むことなく、忙しそうに帰っていかれた。