まだあなたを愛してる〜離縁を望まれ家を出たはずなのに追いかけてきた夫がめちゃめちゃ溺愛してきます〜
 俺はマックスに手紙の事を伝え、ついでに自身に魔力が現れ魔法を使えるようになったと告げた。
(魔力が現れたことを喜んでくれたマックスだったが、なぜか箒に乗り飛んで見せろとうるさかった)

 偽造された手紙は問題となり、その差出人と蝋印を作った者を捕らえる事となったのだが、俺の証言だけではアーソイル公爵とクリスタの関与を実証する事は難しい。
 マックスは証拠を手にする為、あえてローラをアーソイル公爵の策略に乗せて欲しいと頼んだ。

 嫌で仕方なかったが、俺はその作戦に乗る事にした。

 そもそもこの手紙は、ローラを誘い出すためのものだ。
 しかし、分からない事が多々ある。
 彼女との縁を切ったアーソイル公爵が、いまさら何の目的でローラを呼び出そうとしているのか、そしてクリスタはなぜこの手紙に関与しているのか。

 クリスタが関わっているとなれば、俺にバレていないと信じ、ローラのネックレスの石を交換している両親もこの事に関係していると考えられる。

 俺は彼女に、手紙は偽物だと話し、この事にアーソイル公爵が関与していると伝えた上でケーキを受け取りに言って欲しいと伝えるつもりでいた。

 しかし、話す前に家に謎の箱が持ち込まれたのだ。
 キレイに包装されたその箱の外側からは、俺の母の気配が感じられた。
 誕生日の贈り物を預けてくれたのだろうか、と一瞬考えたがそんな物は今まで貰った事がない。――絶対に違う。

 それに、箱の中から漂う不思議な気配。

 俺はすぐにエマに連絡を取り、箱の正体を尋ねた。始まりの魔女エマは遥かな時を生きている。この箱の事も知っていた。
 その箱は、昔、精霊の加護を持つ公爵達が持っていた物。精霊の働きにより、箱から箱へ声を届ける物だった。
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