まだあなたを愛してる〜離縁を望まれ家を出たはずなのに追いかけてきた夫がめちゃめちゃ溺愛してきます〜
24私の決意
「お前……今どうやってここへ……?」
突然現れた彼らに驚いたアーソイル公爵は声を震わせた。
ジェイドはほんの一瞬不機嫌な表情を見せると私を抱く腕を緩め、体を公爵等に向け姿勢を正し敬礼する。
公爵の護衛騎士達は、ジェイドの礼節ある態度に構えていた剣を収めた。
「アーソイル公爵閣下、お久しぶりです」
「ジェイド・レイズ……?」
驚いている様子の公爵は、挨拶を返す事なくただ彼の名を口にする。
「はい。まずはこれを」
ジェイドは手にしている杖を振り、アーソイル公爵の足下に大きな袋を出した。
「お返しします」
自然に魔法を使うジェイドに公爵は驚きの表情を隠せずにいる。
「今……お前は魔法を使ったのか?!」
「はい」
「なぜだ?! レイズ侯爵の魔力は途絶えたのではなかったのか?」
『魔力持ち』とされるレイズ侯爵だが、その力は二代続けて現れる事がなかった。その為、レイズ侯爵の魔力は、同じく魔力持ちだったライン辺境伯のように完全に途絶えたのだと思われていたらしい。
「いえ、我々レイズ侯爵家の魔力は途絶えてはおりません。力は封印されていただけです」
「封印?」
ジェイドの返事を聞いたアーソイル公爵は、加護の力とは違うことわりに不思議そうな顔をして首を傾げた。
「はい、ここにいる魔女、エマ様によって」
後方にいるエマに視線を向けるジェイド。
紹介されたエマは笑みを浮かべ軽く頷いてそれに答えた。
「魔女だと……?」
「そう、私は始まりの魔女よ」
新緑の瞳を光らせたエマは軽く杖を振り、私のすぐ横に姿を移した。
目の前で魔法を見せつけられた公爵は少しだけ後ずさりをして、エマとギル、そしてクリスタ様を回し見る。
同じく新緑の瞳を持つギルを指さすと、この男も魔法が使えるのだろうと話した。
「挨拶もなくこの男呼ばわりされるとは心外だな」
ギルは拗ねたように少しだけ声を低くする。
「アーソイル公爵閣下。ここにおられる男性は、私の親族でありエマ様の伴侶であられる魔法使いギル様です。二人はローラを迎えに行くといった私の為に一緒に来てくださったのです」
そう話すと、ジェイドはスッと私の体を片腕に抱きかかえた。
「ローラ……というのはそれの名前なのか?」
彼の腕の中にいる私に指を差し、驚いたように話す公爵。
エマは「呆れた」と言い、首を横に振った。
「まさかあなた、名前も知らなかったというの?」
バカにするような言い方に、公爵はムッと唇を歪ませている。
「それは生まれてすぐに乳母に預けた。名は乳母が勝手につけたのだ」
どうでもいいような言い方をするアーソイル公爵閣下に、これまで頭を下げていたマイアが顔を上げた。
「いいえ、いいえ公爵閣下」
「なんだ? 私は知らぬ事。そもそも何ゆえにそのような名を……」
マイアは前に組んだ両手をギュッと握りしめ、意を決したように口を開いた。
「ローラ様のお名前は……そのお名前は、奥様……ロゼリア様がお決めになっていた名です!」
突然現れた彼らに驚いたアーソイル公爵は声を震わせた。
ジェイドはほんの一瞬不機嫌な表情を見せると私を抱く腕を緩め、体を公爵等に向け姿勢を正し敬礼する。
公爵の護衛騎士達は、ジェイドの礼節ある態度に構えていた剣を収めた。
「アーソイル公爵閣下、お久しぶりです」
「ジェイド・レイズ……?」
驚いている様子の公爵は、挨拶を返す事なくただ彼の名を口にする。
「はい。まずはこれを」
ジェイドは手にしている杖を振り、アーソイル公爵の足下に大きな袋を出した。
「お返しします」
自然に魔法を使うジェイドに公爵は驚きの表情を隠せずにいる。
「今……お前は魔法を使ったのか?!」
「はい」
「なぜだ?! レイズ侯爵の魔力は途絶えたのではなかったのか?」
『魔力持ち』とされるレイズ侯爵だが、その力は二代続けて現れる事がなかった。その為、レイズ侯爵の魔力は、同じく魔力持ちだったライン辺境伯のように完全に途絶えたのだと思われていたらしい。
「いえ、我々レイズ侯爵家の魔力は途絶えてはおりません。力は封印されていただけです」
「封印?」
ジェイドの返事を聞いたアーソイル公爵は、加護の力とは違うことわりに不思議そうな顔をして首を傾げた。
「はい、ここにいる魔女、エマ様によって」
後方にいるエマに視線を向けるジェイド。
紹介されたエマは笑みを浮かべ軽く頷いてそれに答えた。
「魔女だと……?」
「そう、私は始まりの魔女よ」
新緑の瞳を光らせたエマは軽く杖を振り、私のすぐ横に姿を移した。
目の前で魔法を見せつけられた公爵は少しだけ後ずさりをして、エマとギル、そしてクリスタ様を回し見る。
同じく新緑の瞳を持つギルを指さすと、この男も魔法が使えるのだろうと話した。
「挨拶もなくこの男呼ばわりされるとは心外だな」
ギルは拗ねたように少しだけ声を低くする。
「アーソイル公爵閣下。ここにおられる男性は、私の親族でありエマ様の伴侶であられる魔法使いギル様です。二人はローラを迎えに行くといった私の為に一緒に来てくださったのです」
そう話すと、ジェイドはスッと私の体を片腕に抱きかかえた。
「ローラ……というのはそれの名前なのか?」
彼の腕の中にいる私に指を差し、驚いたように話す公爵。
エマは「呆れた」と言い、首を横に振った。
「まさかあなた、名前も知らなかったというの?」
バカにするような言い方に、公爵はムッと唇を歪ませている。
「それは生まれてすぐに乳母に預けた。名は乳母が勝手につけたのだ」
どうでもいいような言い方をするアーソイル公爵閣下に、これまで頭を下げていたマイアが顔を上げた。
「いいえ、いいえ公爵閣下」
「なんだ? 私は知らぬ事。そもそも何ゆえにそのような名を……」
マイアは前に組んだ両手をギュッと握りしめ、意を決したように口を開いた。
「ローラ様のお名前は……そのお名前は、奥様……ロゼリア様がお決めになっていた名です!」