まどろみ3秒前

プロローグ


まるで、水の中にいるみたいだった。

足掻いても足掻いても、掴めない水。空を切る手。動かない足。息ができず泡吹く口。沈んでゆく体。水が、身体中を浸透していく。

苦しい。痛い。辛い。ああ、息が出来ない。酸素を体が欲している。水には、酸素がない。吸っても、口の中に水が入るだけ。


そんな、水の中みたいな。

そんな、いつだってまどろみの中にいた。











「待ってるから、ずっと」



まどろみ3秒前







< 1 / 426 >

この作品をシェア

pagetop