まどろみ3秒前

ピンク色だった空は、やがて紫色に変わっていく。不安が増すばかりで、どうすればいいのかわからなかった。


ああ、彼に心配されて迷惑がかかってしまう。どうしよう、どうしよう…


下を向いて早足で進んでいると、コンクリートの小さな段差に躓いて、急に体が倒れてかけてしまった。視界が変わっていく。


「っ痛…」


すぐに、何事もないように起き上がってその場から走り去った。すると、膝がヒリヒリして痛かった。見ると、少し赤く腫れている。


「最悪じゃん…」


また更に奥の道へと来てしまった。どうして道はこんなにも複雑で、どこまでも続いていくんだろう。

遠くまで見える道路や、無邪気で幸せそうに通っていく人にまでイライラする。

ああ…どうでもいいんだよ…100点とか…

スマホで何度も彼に連絡をいれてみようかと迷ったが、ただの情けない奴だし、迷惑なのでやめておいた。


一生こうして迷ってくのかな…なんて思い始めて、下を向いたその時だった。



「なにしてんの?」


雨みたい。雨みたいに、言葉が降ってきた。その、聞き覚えのある声に顔を上げる。


「…え」

「なにしてんの?こんなとこで」

「…東花」


クラスメイトの東花だった。制服ばかり見てきたから、私服なようで少し見慣れない。私を変な人のような目で見てきていた。
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