まどろみ3秒前
1ヶ月に何度もテストがある。次のテストまではもう3週間を切っていた。
「じゃあ今日はここまでで」
彼は眼鏡を外して、時計を見やる。私も同じように部屋の時計を見ると、もう夜の11時にもなっていた。
一体、何時間やっていたのだろう。休憩は挟んでやっていたが、ほとんどぶっ通しで、書く聞く読むだった。
「眼鏡かけてるけど、朝くんって目悪いんですか?」
「…そ。裸眼だけど、目悪いから」
少しだけ悲しそうに彼は言った。へぇー、と適当に頷いた。
荷物をまとめて、ケシカスを手で集めていると、彼は「あ、そういえば」と呟いた。
「言ってなかった」
「…ん?」
「今日、起きれたじゃん。翠さん、すごい」
頭をポンポン、と軽く叩いてくる朝くんを睨み付けると、彼は優しく笑った。
起きれたら盛大に嘲笑ってやろう、なんて考えていたが、どうもそんなことは出来ないや、と自然と口元が緩まった。
本当に起きれたのが嘘みたいで、今、やっと彼に言われて本当だと自覚できた気がした。
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