まどろみ3秒前
―だけど、中3の卒業間近のとき。受け止めざる負えないことが起きた。
小さい頃から親の仲がよくて幼なじみで、私の親友に等しかった人、安波 柚《やすなみ ゆず》。
彼女だけには、私の寝坊は症状だということも話していた。自分が、いつ起きるかわからない原因不明の症状だということ。
彼女は、いつだってポジティブで明るくて、心の強い人だった。リーダー的存在で、私を引っ張ってくれていた。
「翠、おはよう。今日も学校来れたんだねー!」
「うん、そうなんだよねーはは」
柚は心配性だから、心配してくれたんだろう。彼女は、私が学校へ来ると1番に誉めてくれる。いつだって、優しかった。
本当に、大好きな人だった…
「ねーえ、柚ちゃんさ」
女子トイレへ入ろうとすると、なにやらひとりの女子の声が聞こえた。誰かと、柚が話しているらしい。
特に気にすることなくトイレへ入ろうとしたが、ある言葉が耳に入り、自然と、足が止まっていた。
「翠ちゃんのこと好きなのー?いっつも喋ってるよね?」
また、別の女子の声。柚は、女子たちに囲まれているらしかった。柚は、「いやなんでそんなこと聞くのー?」なんて言って濁った空気を綺麗にするように笑っていた。
「だって、無理してるでしょ?柚ちゃん」
…無理?