まどろみ3秒前

「はい。次の日の夕方に起きてて、段々と、昼に、それで朝に起きれるようになったんです」

「うん、わかった。教えてくれてありがとうね」


若い医者は、私に優しく笑いかけた。嘘ではないその笑顔に、少し安心できた気がした。パソコンを眺めてから、視線を私の後ろに向けた。


「すいませんね、お母さん」

「あ、はい?!」


静かに見守っていたお母さんが急に呼ばれて驚いたのか立ち上がった。次は私に視線を向けた。


「ちょっと、お母さんと2人で話をしてもいいかな?ごめんね、待っててくれる?」

「え、あ、はい」


私は素早い速さで診察室から出た。

…追い出されてしまった。

なんなんだろう。こういうのドラマとかで見たことがある。重い病気のときに、親にだけ話す場面。

もしかしてそういう重い病気なのだろうか?たった、長く眠る、それだけなのに?

というか、その症状は治ってきているのだ。次の日の朝に、起きれる。
< 137 / 426 >

この作品をシェア

pagetop