まどろみ3秒前

sleep 7 空が綺麗だから。


―はっと目を開けると、視界には、見慣れた真っ白な天井が広がっていた。


「…また、起きれちゃった」


日付や時間が表示されたスマホを見て、ポツリと呟いた。次の日の朝だった。

世界はそれが当たり前のはずなのに、「起きれちゃった」なんて言ってる私ってほんと、バカみたい。自分で笑った。

最近は、全く夢を見なくなった。あの男の人が出る不思議な夢も。ああ、昨日の病院のことが夢だったらどんなによかったか。


あのあとお母さんにも私の病気のことを説明されたのだが、今もよくわかっていない。

原因不明の病気で。病気は治らなくて。私はその運命の人に起こされないと、絶対に起きれなくて。そんな病気を、私は患っていた。


いつ、長く眠るのかわからない。

毎朝毎朝起きてしまうと、段々と心が不安に襲われていく。

朝が、怖い。生きても眠ってても死んでても同じ。心が崩壊していく。

あの時と同じだ。あの、おちょこ橋から飛び降りようとした時と同じなんだ…


―ブーッ、ブーッ


何やら振動する音がして辺りを見渡すと、それはスマホからだった。出ないでおこう。そう思って、私はスマホの電源を切った。
< 143 / 426 >

この作品をシェア

pagetop