まどろみ3秒前


「…あの、ちょっと言ってもいいですか」

「ん?なに」


誤解を解きたくて口走る。


「勘違いやめてほしいんですけど、別に、私が寝たいとかじゃないんで。事情はあとで説明するけど、ただ、起こしてもらいたい。それだけであって、それ以外何もなくて」

「はいはい。…まあ、別に俺と翠さんで一緒に寝たことだってあるし慣れてるし?ね?」


どこかいたずらぽく笑う彼の方に、どこか強く足を踏みながら歩み寄る。


「あーあれは違うんで。人聞き悪い勘違いやめてくれますか?あはは。まじで殴ってもいいですか?なんかムカつくんですけど」

「え、怒ってんの」


拳を作った私に、「怒り方とかかわいすぎだろ」と言う彼に、はっと我に返り、とりあえず、睨み付けて圧をかけておいた。


「んじゃあ、今から勉強で。せっかくここで会えたんだから」


今から?と思わず首をかしげる。


「そ、今から。ほら、道こっち。俺に連絡も入れず朝には電話無視した、重い重すぎる刑をおかした罰として、休憩時間減らすから」

「ええ…それはやばいって…」


私が進んだ逆方向に進んでいく彼の背中を、小走りで追いかけた。そのせいで少し躓いてしまって、彼に笑われてしまったけど。








< 153 / 426 >

この作品をシェア

pagetop