まどろみ3秒前

「…私の頭の悪さわかってるくせに、よくそんな無責任なこと、言って…」

「大丈夫大丈夫。だって俺が教えたんだから。いけないわけ、ないでしょ?大丈夫だって」


大丈夫だとか優しく言うくせに、私にプレッシャーを感じさせやがって…と睨み付ける。

余裕で赤点を下回った私には、もう自信なんてない。100点をとるぞ、という勢いで頑張ってきたけど、テスト前にして自信を失くす。こういうのは、よくあることだ。


「自信がないならつける。頑張ろう、翠さん。大丈夫だから」


さっきまで私と死のうとしてたのに。そんなことは全くなかったように、彼は希望に溢れた言葉を言った。


「わかった。大丈夫、私、大丈夫」

「ん、だいじょーぶ」


ふふ、と優しく笑った彼を見ていると私も、「大丈夫」と希望を言葉にしていた。

大丈夫。その言葉があるだけで、今日も明日も明後日も、私は頑張れる気がした。








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