まどろみ3秒前
名前が出てほしくなかったのは、彼女は、本当に死にそうだったから。ツンと触れれば、壊れてしまいそうな人だったから。
だからもしかしたら、朝の夢が叶ってしまうかもしれない。朝は、口説くのがうまいし…
ごめん、朝。俺が止めればよかったのかな。この世から、翠と朝が消えたとき、俺はきっと何年もこの先、この瞬間を後悔するかもしれない。
でも、そんなことはどうでもよかった。
最後のお願いを、聞きたかっただけだった。
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次の次の日。
昨日、彼女は手紙を見たんだろうか。今日、学校に来ていなかったら、もしかしたら…
「え待って?来てんだけど」
「えーなになに?」
「くまやばくね?さすがに大丈夫か心配~」
教室中が少しだけ騒がしかった。彼女への陰口を言ってクスクス笑う奴らは何度も見てきたが、今日は違いざわざわと騒がしかった。
「っ…え、いる」
―翠が、朝から学校へ来ていた。
朝陽が差す窓辺に、彼女がいることが全く見慣れずにいた。目を擦るが、彼女はいる。夢じゃなくて、現実だった。