まどろみ3秒前
頭も喉も痛くて体も重かったが、今の私にそんなことは心底どうでもよかった。熱もないし、大丈夫だろう。
「会いたいんだよ、私も…」
こんなに人に会いたいって思ったことはなかった。それくらい、私は会いたかった。
汗は一切と出てないが、1週間も寝たんだから一応シャワーを浴びて体を綺麗にした。
制服に着替え、テストを手提げカバンに入れて、私は家を出た。
「ちょっと、友達のとこ行ってくるー」
「はーい」
お母さんは、「気をつけてね」とだけ言って私を見送ってくれた。
案の定、雨が降っていた。
赤い傘をさして、私は外へ出た。
1週間も経てば、外の世界は、どことなく新鮮に感じた。電柱や家の位置も、見える風景も何も変わっていなくて、少し安心できた。
厚く暗い雲に覆われ、傘には容赦なく強い雨が落ちている。私の好きな、傘に跳ねる雨の音。いつまでも聞いていられる気がした。
1週間のうちに、世界はどれくらい変わったんだろう。
スマホで溜まっていたニュースは、アイドルが結婚していたことが発覚していたり、有名な女優が不倫疑惑をされていたり、地球温暖化が加速していたり。嫌なニュースばかり目が行って、あまり良い気はしなかった。