まどろみ3秒前
sleep 12 生きたい。
―はっと目を開けると、いつもの天井が広がっていた。私は、ゆっくりと起き上がる。
頭が痛い。軽くめまいがする。
曖昧な記憶のなかで、部屋をじっと見渡す。
すると、ベッドから丁度見易い窓辺のところに、3束の四つ葉のクローバーが花瓶に入れられていた。
茎はまるで空の方に伸びているようで、水は日に照らされて透き通っていた。
「なにこれ」
思わず呟いた私は、重い体を動かしてクローバーに近付く。こんな大きいクローバー、あるの?
指でツンツンとしてみると、押されて元気に戻ってくる。
カレンダーとスマホの日付を見比べると、最後に斜線が引かれた日から、既に10日以上経過していた。
ああ、もうすぐか。
もうすぐ、私は長いスリープ時間に落ちる。
その時間は、3年にも及ぶという。今までとは比にならないくらい、私は眠りに落ちる。
いつその眠りに落ちるかはわからない。体内では長く眠るための、いらぬ準備が万端なようで。今夜でも眠っても、おかしくはない。
スマホには、ニュースやセールスばかりで他には特に何も、通知は来ていなかった。