まどろみ3秒前
「俺は、眠り方がわからなくなる。まあ、眠らなくても生きていける体質みたいなんだけど。…でも、心はその体制がついてない」
「…心?」
「人は眠って、自律神経を安定させてる。俺には、眠れないからそれがない。体は眠れなくても大丈夫だけど、…心は駄目みたい、」
「駄目って、どうなんの?」
「……頭が、おかしくなる。まあ、夕にはわからないだろうけど」
その通りだ。言っていることがよくわからない。朝は、重度の不眠症…?
月光が窓から差す。綺麗な満月が出ている。
「夜になって目を瞑っても、皆と同じようには眠れなくて。気付いたら朝が来てる。それが、ずっとずっと、ループしてる。精神が安定しなくて頭おかしく、なる」
「…ほんとに、それ、不眠症?」
不眠症は眠りにつけなかったりする病気だ。それは、また違う病気だと俺は思った。朝は「んー」と考えるようにして言った。
「わからない。俺はただの、不眠症じゃないかって思ってるけど」
「え、お前病院、行ったよな?流石に」
「行ってない。別に対したことじゃないと思ったから。親にも言ってない」
「は?なんで言わないの?…てか、お前のお父さん医者だろ」
そう、朝のお父さんは医者だ。駅の近くでやっている小さな病院だが、その辺に住む市民からは愛されている。