まどろみ3秒前
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「さむ…」
雨はやんでいた。ポツリと呟いた言葉は、雨上がりの夜空へと消えていく。
本当に、出てきてしまった。
そこは、マンションだった。
私がいたマンションを出ると、見覚えのある道路が続いていた。私は、まだ乾ききってない髪と制服を着て、濡れた靴を履いて真夜中ひとり歩く。
―もう2月だ。いつの間にか、時間がどんどん進んでいく。私の心は、いつまでも追い付けないまま、進んでいくんだろうな。
冬の寒さとは恐ろしいものだが、気温はそこまで寒くはなく、温かかった。
私の体がおかしいのかな。
極力何も考えないようにし、前だけを見て私は無事、家へ到着したのだった。
家の扉は開いていた。気付かれないよう静かに侵入して、自分の部屋に戻った。
何も変わっていない。時計を見ると、真夜中の4時前にもなっていた。
夕方に外に出てそれ以来、私は家に帰っていない。夜にも帰ってこない私のことを、きっとお母さんは心配していただろう。
お母さんなら、またあの心配の表情を浮かばせて…というそんなお母さんは容易に想像が出来る。もう、見慣れてしまった。