まどろみ3秒前
「その今にも崩壊しそうな目。それで笑い取り繕う翠さん。……今は、また違う目だけど、俺は、今の翠さんの方が、好き」
「…やっぱり、頭おかしい」
「大丈夫。世界がどんなに変わっても、俺は、どうせずっと変わらないで待ってるよ」
どうして、この人は、いつだって私の欲しい言葉をくれるんだろう。
「翠さんがいないと、生きていけない。精神が安定しなくなる。俺も苦しい」
「どうして…?」
「翠さんは、俺の心臓の一部だから」
「言い過ぎ…」
どうして、そこまで言うんだろう。涙が止まらなく出てくる。優しくて、安心するんだ。
「絶対に大丈夫になるおまじない、かけとく」
人差し指を上に指しくるくる回して、私に指先を「はっー!」と向ける。無表情で睨み付ける私に、朝くんは、優しく笑っていた。
「ほら、大丈夫」
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眠れない朝くんは、朝が嫌いだった。
眠りすぎる寝坊女の私は、夜が嫌いだった。
朝くんの病気は、重度の不眠症というわけではなく、未だ原因不明の病気らしい。
私と、同じだった。
だけど、私の真逆の病気。
本当に、おとぎ話みたいだなぁ。