まどろみ3秒前

朝の5時。部屋の窓を開けて見ると、いつの間にか朝陽が昇っていた。

私の部屋は1階にあるので電柱も沢山あるし、眺めもよくない。はずなのに、どこか皮肉なことに昇った太陽は綺麗に見えた。

まるで、それは1枚の絵のよう。

暗かった夜の空は、太陽で空が明るい色になっていく。じきに私がよく見る青い色をした空になった。

小さい頃以来に、私は日の出を見た。

1日の始まりって、すごい。私は3日眠った時、これを3度、繰り返していたんだろう…









朝の7時。私がやっとのことリビングに行くと、案の定、お母さんは朝食の準備をしていた。お父さんも弟の累もいた。


「す、翠!?!?帰ってきたの!!!」

「あ、はは。ごめんお母さん」


お母さんは、私が想像していた通り心配の表情を浮かべながらこちらへ駆け寄ってきた。お父さんも累も、安心した表情だった。

今にも泣きそうなお母さんに、私は笑みを浮かべる。こんな表情されたら、笑顔をみせて安心させる以外何もない。


「ど、どこ行ってたの!?てか翠、朝起きれたの!?」

「いやーえっとね。昨日夕方に散歩行って、雨降ってたでしょ?それで風邪引いて倒れちゃって。助けてもらってて、夜帰ってきた」


別に嘘はついていない。
< 32 / 426 >

この作品をシェア

pagetop