まどろみ3秒前

自殺しようと橋から落ちようとしてたら、助けてもらった。それで家へ無事に帰ってきた。それだけ。たった、それだけ。


「た、助けてもらったの!?大丈夫?熱あるんじゃない?」

「ううん!もう治ったから。学校も、行くよ」


嘘をつくのは得意だ。嘘をついても、申し訳ないということも思わない。罪悪感もない。

詳しいことはあまり自分でも答えられなさそうだったので、まだ何か言いたげなお母さんを背に、私は学校へ行った。









「えぇー、朝から天塔さん来てるじゃん」

「ね。その前の日は3日寝てたらしいよ。、」


いつ、そんな噂が広まったんだろう。本当に、そういう噂とか怖いなぁ…なんて他人事のように思いながら、私は朝、鞄から教科書たちを取り出して机に敷き詰めていた。



「えっ、3日?やば過眠症?病気じゃん」

「…天塔さん、なんか目の下にくまできてない?」

「じゃー言いにいったら?」

「いやむりむりー!絶対言えないよ」


くま…か。だって、4時間くらいしか気絶してて寝てなかったからだもんな。ああ、いつも以上に私は不細工なのかな。まあ、どうでもいいけど。
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