まどろみ3秒前
泣き止んだように、目と鼻を赤くした男の子は、私に聞いた。
「ねぇすいちゃん」
「ん?」
「明日も会おうよ」
会ってくれる?ではない。会おうよ。
私は少し間を空けて、笑いかけて言う。
「うん、会おうね」
「やったあー!!トランプしようよ!僕ね、スピードっていうゲーム強いんだよ!!」
「うん、しようしようか!」
どうして嘘をついたんだろう。この子に、ただ、酷い思いをさせるだけなのに。
明日なんて、どうせ1日中眠っているくせに。
―辛いことも悲しいことも痛いこともなく、眠っていれば時が過ぎていく病気。
でも同時に、嬉しいことや楽しいこと、幸せだと感じることは、失くなるんだ。
なんて、悲しい病気なの……
「すいちゃん、ありがとう。僕、すいちゃんがいなかったら今ごろまだ泣いてたよぉ」
「そんなことないよ。私以外の他の人だって、きっと助けてくれたから」
「ううん、僕はすいちゃんがいい。優しいお姉さんよりおじさんよりも、僕はすいちゃんがいいもん」
病室の前までついた。泣きじゃくっていた男の子は、もうすっかりと、お兄ちゃんになっていた。男の子の目線と合わせてしゃがむ。