まどろみ3秒前

夜だった。

朝くんも私も、時間については触れなかった。この部屋に時計はない。もう窓は真っ暗で、それだけが、時を示している。


「ねぇ、翠さん」


思い出せてよかった。そう思えた。


「次は、いつ会えんの」


なんで、こんなに…

胸が痛くいたくなるんだろう…


「…朝くんは、いつ、会いたい?」

「…俺は、いつでも待ってる。でも、寝れない病気が、重症になってきてるから」

「じゅ、え、だ…大丈夫?」

「あーいや、正直やばいかもしれない。もう、5ヶ月寝てないから」


ご、5ヶ月も…?言葉に詰まった。


「頭もなんか回らなくなってきて、最近、学校休むようになっちゃってきてるけど」

「そっか……」

「翠さんと話した夜は、眠れるんだけどな」


彼は、静かに窓を見やる。

窓際には、一回り小さな四つ葉のクローバーがあった。

朝くんは、その間、病院の裏にまで新しいクローバーを取りに行ってくれていたらしい。

ほんと、運のいい人だ。意外と近くにあるもんだ、なんて彼は言っていた。四つ葉は、窓から入った雨水に、漬けるだけにしといた。


「ほんとは、翠さんのこと恨んでた」


恨まれて当然のことを、私は朝くんの前で何度もしてきた。

それでも追いかけて、私をいつも救い上げてくれていた。いや、そんなカッコいいヒーローみたいに、救って助けるんじゃない。一緒に、溺れてくれるように、助けてくれた。
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