まどろみ3秒前
sleep 15 約束。
【said ?】
まどろみとは、少しねむること。うとうとしたり、そんな表現にはまどろむが使われる。
彼女は、そんな風に眠っていた。
まるで、浅い眠りのように。
3年5年眠るようには、どうしても見えない。
彼女が眠っている姿は、初めて見たかもしれない。いや見たことはあるけれど、あれは気絶していた時だった。あーそんなこともあったな、なんて遥か昔のように感じる。
体が僅かに上下に揺れている。瞼は、微動だに開かず動かない。まだ頬には涙が残っていた。拭ってやろうかと考えたけど、やめた。
彼女は、どこか笑みを残して眠っている。今さっき喋ってたのに、なんて寂しくなる。
綺麗な、寝顔。
本当に眠り姫みたいな寝顔に見惚れる。
何度俺を惚れさせたら、彼女の気は済むんだろうな。彼女の全部が、俺の好きになる。
目の下には深いくまがあり、茶色い髪がぼさっとベッドに広がっている。
それ染めてんの?と聞いてみたら、「染めてない地毛です」と彼女は怒りを隠すように下手くそな笑い方で笑ってた。
あれ、めちゃくちゃ可愛かったな…
そっと掛け布団をかけてやった。
声をかけたり、肩を揺らしたりはしない。
「…約束、守るから」
聞こえないよう、小さく言った。
「あっ」
雨は、止んでいた。
ポツ、ポツと窓に残った雨粒が落ちている―
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