まどろみ3秒前
俺は、父親に怪訝な目を向ける。
「朝を見てたら、わかるんだよ」
茶色い瞳は、俺を映して彼女を映した。
「自分は苛つくくらいに朝が来て、満たされず、自暴自棄になってもおかしくないはずなのに…それでも一向に起きない彼女を恨まず、毎日、毎日と病室に通って」
「…」
「来る度に彼女に会えずに傷つくのに、それでも、光を追い求めるようにここに訪れている。朝陽なんだよね、互いに。…一応あなたの父親だから、それくらいわかるんですよ」
ふふ、と笑った父親は、病室を後にした。
彼女が、俺の、朝陽―
世界には、尊く大切な、当たり前のように昇る朝陽があったりする。
でも、俺の中の朝陽は、昇ってくれない。
だから、ずっと待ってるんだよ。俺の、俺だけの朝が見れる日を。
昨日のことのように思い出す。
―朝くんのことが好きです…
―最後に、抜け駆けさせて…
「これ以上、好きにさせんな……」
今日も眠れない俺は、今日も朝を待っている。
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