まどろみ3秒前

「ずっと、見てたくなる。翠が、本当に、お姫様みたいに綺麗に見える。……まあ俺に見えてるだけで、ほんとはそんなんじゃないんだろうけど、なんでなのかな」

「えなんか嬉しいけど、バカにしてます?」


堪えきれなくて言ってしまうと、「嘘うそだって」と笑われた。


「もう好きすぎて、目がおかしくなってんのかなぁ、なんつって」

「なん、つってって……」


やばい、顔が赤くなる。下を向いて隠すが、無理矢理顎を掴まれて顔を上げられ、彼に、「あれ、顔赤い?」と笑われた。

 
「…今、…いや、何でもない」

「ん?なに」


首を傾げる朝くんに、迷ったけど怖かったけど、思い切って聞いてみた。


「愛する人は、いますか」


私が言った途端、朝くんは吹き出して笑った。確かに、聞き方が悪かった。

だけど、こっちは勇気を出して聞いたし…と怪訝な眼差しを向けることにした。


「朝くんの声は安心できて、あー運命の人だなって、思ってる。でもやっぱり、その、私と一緒にいたくなかったり、ほんとは私のこと好きじゃなかったらなぁ…ちょっと…申し訳、ないなぁというか…」


またじっとした目付きで私を見やる。


「す、好きでもないのに起こすくらいなら、一生眠ってても、いいから。別に、私のこと無理して起こさなくていいので」


1年も眠っていた相手をまだ好きなんて、本当は、もう、ないかもしれない。どこか自信を失った私がいた。
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