まどろみ3秒前

たった1枚の死の手紙から、生きる愛へと変わった。彼がなかったら、私は今ごろ、この世界から消えてなくなっていた。

彼はヒーローだ。私の、皆の、ヒーロー…

ああ、どんなに息苦しいまどろみでも、どんなに優しいまどろみを生きても、どんなに先の見えないまどろみだったとしても。

きっと、「生きていけない」そう思う。それでも、生きていけるって自信をつけて、少しでも少しでも、胸を張っていけるように。



「愛してる」



低くて優しい、雨のような声だった。

ああ、泣いてしまいそう。


いつか、言えなくなる日が来ても、きっと今までのように、あなたが言ってくれる。あなたが言えなかったら、私が何度だって言う。


だから私も、精一杯に言おうと思った。


迫りくるカウントダウンはもう感じない。

どうか生きて、どんな波にも流されないように。

自由すぎて、地図も欠片もない深海を彷徨う私達の、言葉の欠片のように。



「私も、愛してる」



長い長い、優しい口づけを交わした。












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