まどろみ3秒前
「てか日曜日だからって昼まで寝てたのかよ。昼飯のために来てやったのにさ?ふさげんなよまじ」
いつも通りの東花の怒り具合を聞きながら、もうそんな時間か、なんて呑気に壁に飾った時計を見た。
「なんか置いとくから、食べといたら?」
「東花、ありがと」
東花はそのまま、私達が全く使わないキッチンへ向かう。掃除もしていないし、多分、埃が舞っていることだろう。
忙しいだろうに、東花は、本当は優しい人だ。休日はもちろん、ほとんど毎日来てくれている。感謝忘れちゃだめだ、と毎度思う。
「ひる、おはよ」
彼の声がしてふと、見やる。
彼は今日も、窓辺でごろごろ日向ぼっこしているひるの頭を撫でながら餌をやる。
優しい茶色い瞳には、私ではなく、ひるを映している。愛おしそうに、優しい大きな手でひるの巨体化したふわふわな体を撫でる。
「あーかわい」
「…」
「?どしたの」
私と色違いのルームウェアに身を包む彼は、じっと見つめる私に気付いたのだろう。今度は、私が茶色い瞳に映って、こちらに近付く。
あーわかった、と彼はふっと笑った。
「俺がひるにおはよって言ったの、嫉妬してる?」
「…は?猫に?してないけど」
はは、と口角を上げて笑ってみる。
ほんとは、めちゃくちゃしたのかもしれない。それは認める。猫だとしても、それでも、なんだか胸が苦しくて、嫌になった。