まどろみ3秒前
ここの肩寝やすいわ、なんて彼はいたずらっぽく笑っている。慣れてくれない私の体は、びくっと小刻みに震えて冷や汗をかく。
―そこで、思った。
「…朝くんってさ、何も、思わない?」
「ん、なにが?」
声が近くに聞こえて心臓が爆発しそうだが、それでも平常を偽りながら、きょとんとする彼に続けて言う。
「いち、おう?私からしたら朝くんって……」
「あー、彼氏?恋人?」
行き詰まるワードを軽く言う彼に、顔が熱くなる。まずい、と隠そうとして頬を手で隠す。
「互いにベッドに侵入しないとか、私が、約束事とか勝手に決めちゃって…、朝くん何も言わないけど、何も思ってなかった…?」
「…」
「私って、全然彼女らしくない人だからなぁ…難しいなぁ…なんか、ごめんなさい…」
病気のため、病気のため…、それに思いが行きすぎたのかもしれない。それに、私が同居生活に慣れていなかったのもある。
朝くんのこと、何も考えてなかった。
「いいんだよ、別に」
「いいって…」
朝くんは、私の肩の上で、心地良さそうに目を瞑っている。今にも眠ってしまいそうだ。
眠れない朝くんはやっぱり、私がいたら、安心して目を瞑ることができるんだろうか。
私だってそうだった。
朝くんがいたら、安心して目覚められる。