まどろみ3秒前

嫌な予感が、胸がぎゅっと強く痛め付ける。


「天気予報、間違ってんだよね」


そうは言うけれど、こういう時こそ、天気予報は間違ってないことが多い。自分が願って思うと、必ず逆のことになる。

スマホを見るのも憂鬱だ。起き上がって、棚に置いてあるスマホを覗き込もうと手を伸ばした。その時、視界に入った。

小さな花瓶に入った、四葉のクローバー…

なんで、あんな雑草が…と頭から記憶を呼び覚まそうとするが、起きたばかりからか何故か出てこない。考えるのも、なんだか憂鬱で辛かった。

どうでもいい。なんで私が四葉なんて飾っているの?ただの雑草だ。意味わかんない。

それでも、私は四葉を見つめていた。

小さな四葉は、懸命に茎を伸ばして立っている。おろそかに花瓶に入れこまれていても、枯れて下を向いてもいない。ただ、上に咲いていた。


「…誰に、もらったっけ」


思い出せない。どうでもいいからだろう。

変な夢は見るし、今日は散々だ。


思い出せないのは、どうでもいいから。


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