まどろみ3秒前

普通の女子高校生、のように朝の準備をする。正確には、朝じゃなくてもう昼だけど。

イヤホンを耳にさして、スマホで優雅に音楽を流した。本当は、なにも考えたくなくて、音楽に逃げていただけなのかもしれない。


日は跨ぐけど、2日になった。起きれたし何をそんなに考えたくないの?どうでもいい。むしろよかったじゃん、2日だけなんて。

そう心に何度も語りかけたが、心はいつだって何も言ってはくれない。心は、既に死んでいるのだ。


私が大好きなJポップの曲が流れる。これも、もう何年も前の曲だった。まだ出されたばかりの新曲だったはずなのに、と音楽を聞いているときですら心が病んでしまいそう。

朝食をしっかりとって、歯磨きをして、癖髪を丁寧にアイロンしくしで整え、ナチュラルにメイクをしてみたりして、制服着て…


「よし」


無駄かもしれないし、寝坊してるくせになにセットしてんだよ、と笑われるかもしれない。でも、別にいい。どうでも、いい。私は、これでいい。普通の高校生みたいで。

どうしても、目の下のくまが酷くメイクでは隠すことができなかった。

どうしてくまなんて気にするんだ?ああ、そうだった。朝くんに、言われちゃったから…


「会えるのかな、ほんとに」


雨の中、奇跡のように巡り会えたあの日のように、私とあの人はまた巡り会えるのかな…

今日は、雨じゃなくて、晴れなのに。


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