まどろみ3秒前

「あ、こんなに散らかしちゃってた…ごめんなさ…」


顔を上げて謝ろうとしたが、思わず、眼鏡をかける彼に見惚れてしまいそうになる。

綺麗な人…誰だっけ…


「…翠さん?」

「…」

「おーい、おーい。こりゃだめだ」


眼鏡を外して、更に綺麗な顔に心撃たれる。無理だ、なんでこんな綺麗な人と密室の部屋に2人いるんだ?おかしい、おかしい…

そうだ。「じゃあ、俺の部屋で今から」と言われてここへやってきたのだ。

時計を見れば、もう夜の8時半。勉強を始めてから、もう何時間も経つ。


私は、白い丸型のテーブルで、眼鏡をかけた彼に教えてもらっていたのだが、彼は驚くほどにものすごく教えるのがうまい。

私が聞いていなかっただけなのか、先生よりもうまいと思う。すぐに理解できた。

解き方や覚え方を語呂で教えてくれたり、とてもわかりやすかった。家庭教師みたいだ。


でも、わかりやすくても疲れる。まじで眠い。今、ここで寝ては行けないことは十分に理解しているのに、眠たさで瞼が重い。
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