まどろみ3秒前

お母さんには『勉強友達に教えてもらうから、遅くなるね』というメッセージを送ったため、夜遅くまで勉強してもいいのが可能になってしまった。少しばかり後悔している。


「疲れた」


思わず呟くと、「ね」と頷く声が近くに聞こえた。気づけば、彼は移動して私の隣に座り込んでいた。


「翠さんまーじで頑張った」

「ありがと、ござました…」


死にかけたようなひび割れた声が出てしまった。


「んじゃ、今日はこれで終わりで」


お腹が鳴りそうで、鳴らないように背を伸ばしたりぐっとお腹に力を入れてみたりする。


「…猫って、いるですか」

「いるですよ?んじゃ連れてきますね」


日本語が話せなくなった私を笑ってきた。くっ…としてやられた気持ちになる。


「あ、いや別に連れてこなくても…」

「折角俺の家来たんだから」


いや、別に気を遣っているわけではない。ただ、動物が少しばかり苦手なだけで…というのは、また笑われそうで言えなかった。
< 97 / 426 >

この作品をシェア

pagetop