好きって言うまではなさない!
プロローグ
「ひなーー!早く起きなさーい!朝ごはん!できてるわよ!!」
目覚ましよりも大きなボリュームで、お母さんの声が聞こえた。
重たいまぶたを必死に開け、ゆっくりと起き上がる。
目を擦って鏡を見ると、大きな寝癖がついてしまっていた。
「あ〜…これとれるかなあ、今日は入学式なのに……」
真新しい制服に袖を通し、顔を洗いにく。
冷たい水が心地いい。
寝癖のついた髪の毛をスプレーで濡らし、櫛でとかしていると、だんだんと落ち着いてきた。
一段落つき、リビングへ向かう。
「あら、新しい制服、にあってるじゃない」
お母さんが優しく笑ってくれた。
「えへへ、そうかな?」
「とても似合ってる…。お父さんにも、見せてきなさい」
「はあい」
お母さんに返事をして、仏壇へと向かった。懐かしいお父さんが写真の中で微笑んでいる。
「どう?お父さん、似合うかな!今日入学式なんだよ、はやいよね!」
返事はかえってこないけど、改めて、頑張ろう、という気持ちになった。
急いで朝食を食べ、髪をツインテールにむすんで、家を出る。
今日は何かいいことが起きる予感!
私、桃園 ひな(ももその ひな)、今日から高校1年生!
「いってきまーす!!」
太陽と桜の香りを吸い込み、私は大きな一歩を踏みだしたのだった。