私と彼の溺愛練習帳
「ドローンの撮影も結局はお客さんがいるんだから、接客してるようなものじゃない?」
「そういう側面もあるけどさ。毎日じゃないから」
一緒に夕食をとっているときに、閃理は言った。
「今度また撮影についてきて。CMの撮影」
「私なんて邪魔でしょ」
「一緒に来てくれたほうががんばれるから。ちょうど雪音さんの休みの日なんだ。休みつぶれちゃうけど、お願い」
閃理が上目づかいに雪音を来る。
う、と雪音は胸を押さえた。きらきらしていて、かわいくて心臓が止まりそうだった。
「いいよ」
思わずそう答えていた。
これが最後かもしれない。
うっすらと、そう思った。
次の雪音の休日に、朝早くから千葉へ向かった。移動は彼の車だった。
到着したのは袖ケ浦にあるジャングルレースウェイというサーキットだった。
愛知に本社のある有名な車メーカーの新型車の撮影だ。
「今日は相棒さんは一緒じゃないのね」
「レースに出場する準備があるから。僕だけだね」
彼はスタッフに雪音を紹介し、スタッフはにこやかに椅子を出してくれた。
絵コンテを使い、彼は最終確認をしていた。四コマまんがが何枚も綴られたようなそれは閃理が作ったという。全体がどうなるかを示すものらしい。
閃理は三人のレーサーとも仲良く言葉を交わし、スタッフと打ち合わせる。
とびぬけた美人が一人いた。温かそうなコート越しにもスタイルがいいのがわかる。話の内容から、レースクイーンらしいとわかった。マネージャーがすぐそばについている。
雪音はなにもすることがなくてただ座って待っていた。
打ち合わせが終わり、閃理はFPVゴーグルをつけてプロポを持ち、待機する。
撮影に使う車の車高は低く、ヨーロピアンでなめらかだ。エンジン音は天使の咆哮と呼ばれている。
テストのために三人のレーサーが三台の車を走行させ、閃理がドローンを飛ばす。
カメラの位置、レンズの向きを車と合わせなくてはならない。レーサーと閃理の呼吸があわなければ失敗してしまう。何度もテスト走行を重ねた。
途中、車がタイヤの空気圧のチェックのためにピットに戻る。
閃理はゴーグルをはずし、大きく息をついた。
「そういう側面もあるけどさ。毎日じゃないから」
一緒に夕食をとっているときに、閃理は言った。
「今度また撮影についてきて。CMの撮影」
「私なんて邪魔でしょ」
「一緒に来てくれたほうががんばれるから。ちょうど雪音さんの休みの日なんだ。休みつぶれちゃうけど、お願い」
閃理が上目づかいに雪音を来る。
う、と雪音は胸を押さえた。きらきらしていて、かわいくて心臓が止まりそうだった。
「いいよ」
思わずそう答えていた。
これが最後かもしれない。
うっすらと、そう思った。
次の雪音の休日に、朝早くから千葉へ向かった。移動は彼の車だった。
到着したのは袖ケ浦にあるジャングルレースウェイというサーキットだった。
愛知に本社のある有名な車メーカーの新型車の撮影だ。
「今日は相棒さんは一緒じゃないのね」
「レースに出場する準備があるから。僕だけだね」
彼はスタッフに雪音を紹介し、スタッフはにこやかに椅子を出してくれた。
絵コンテを使い、彼は最終確認をしていた。四コマまんがが何枚も綴られたようなそれは閃理が作ったという。全体がどうなるかを示すものらしい。
閃理は三人のレーサーとも仲良く言葉を交わし、スタッフと打ち合わせる。
とびぬけた美人が一人いた。温かそうなコート越しにもスタイルがいいのがわかる。話の内容から、レースクイーンらしいとわかった。マネージャーがすぐそばについている。
雪音はなにもすることがなくてただ座って待っていた。
打ち合わせが終わり、閃理はFPVゴーグルをつけてプロポを持ち、待機する。
撮影に使う車の車高は低く、ヨーロピアンでなめらかだ。エンジン音は天使の咆哮と呼ばれている。
テストのために三人のレーサーが三台の車を走行させ、閃理がドローンを飛ばす。
カメラの位置、レンズの向きを車と合わせなくてはならない。レーサーと閃理の呼吸があわなければ失敗してしまう。何度もテスト走行を重ねた。
途中、車がタイヤの空気圧のチェックのためにピットに戻る。
閃理はゴーグルをはずし、大きく息をついた。