私と彼の溺愛練習帳
「雪音の後輩からいろいろ聞かされた。雪音をふった俺へのあてつけというか復讐というか、そういうつもりだろう。君が雪音に尽くしているのはわかった。でも彼女は幸せだったかな」
「いつも喜んでくれた。ありがとうって笑って」
「礼を言うのは当然の礼儀だ」
惣太は言う。
「今はそっとしておいてやれ。必要なら彼女から連絡するだろ」
必要なら。
必要じゃないなら連絡しないということか。
いや、それは当たり前のことだ。
そもそも連絡せずに帰らなかったのは自分だ。
だけど、ただ時間が欲しかっただけだ。
もう言い訳すらできないのだろうか。
彼女を取り戻すことはできないのか。
彼女は自分を必要としてくれないのか。
だけど。
「僕には彼女が必要なんだ」
「勝手だな」
「勝手でいい。自分で探す」
閃理は背を向けた。
「雪音は!」
惣太の声に、閃理は振り返る。
「雪音は、幸せになる権利がある。幸せにしてやれる男が隣にいてやってほしいと、俺は思う」
「僕が幸せにする」
閃理は決意を込めて惣太を見つめた。
惣太は答えなかった。
閃理は再び背を向けた。
惣太はもうなにも言わず、閃理も振り返らなかった。
空には雪のように白い月が満ちていた。
「いつも喜んでくれた。ありがとうって笑って」
「礼を言うのは当然の礼儀だ」
惣太は言う。
「今はそっとしておいてやれ。必要なら彼女から連絡するだろ」
必要なら。
必要じゃないなら連絡しないということか。
いや、それは当たり前のことだ。
そもそも連絡せずに帰らなかったのは自分だ。
だけど、ただ時間が欲しかっただけだ。
もう言い訳すらできないのだろうか。
彼女を取り戻すことはできないのか。
彼女は自分を必要としてくれないのか。
だけど。
「僕には彼女が必要なんだ」
「勝手だな」
「勝手でいい。自分で探す」
閃理は背を向けた。
「雪音は!」
惣太の声に、閃理は振り返る。
「雪音は、幸せになる権利がある。幸せにしてやれる男が隣にいてやってほしいと、俺は思う」
「僕が幸せにする」
閃理は決意を込めて惣太を見つめた。
惣太は答えなかった。
閃理は再び背を向けた。
惣太はもうなにも言わず、閃理も振り返らなかった。
空には雪のように白い月が満ちていた。