私と彼の溺愛練習帳
「人によるよ。僕は撮影と編集と動画の広告で。農薬散布とか、測量、点検とかはやってない」
雪音にはドローンが身近ではないから、うまくイメージがわかなかった。
「自営業なんだけど、社長って言ったほうが女性うけするかな?」
「好きにしたら」
「雪音さんは興味がなさそうだね。社長はやめておく。法人化してないから会社じゃないし」
くすくすと閃理は笑った。
雪音が仕事から帰ると、彼はいつものように仕事部屋にこもっていた。パソコンで動画を編集しているのだ、と彼は以前に説明してくれた。
普段のお礼のつもりでコーヒーを淹れて彼の部屋に行った。
ドアをノックすると、どうぞ、と返事があった。
扉を開けた瞬間、黒い、と思った。パソコンと大型モニターのせいだった。
大きなモニターが何台もあるさまは、テレビ売り場のようだった。
三台のデスクトップパソコンが全部起動していた。二台のノートパソコンとタブレットは棚に置かれたままだ。
棚には十台ほどのドローンが置かれ、そのうちの一つだけが古びていた。別の棚にはトロフィーや盾などが飾られている。
「ただいま。コーヒー淹れたよ」
「おかえり。ごめん、帰ったの気が付かなくて」
はあ、と息をついて彼はゲーミングチェアの背にもたれる。
画面には雪音の通勤路にあるイルミネーションが輝いていた。
キーボードは透明で、七色に光っていた。
「お疲れ様」
光るキーボードっていいな、と思いながらコーヒーをデスクに置こうとした。
つるっと手が滑った。
「あ!」
ばしゃっとコーヒーがキーボードにかかる。
「ごめん!」
「大丈夫。タオル持って来て」
慌ててタオルをとって戻る。
雪音がデスクを拭き、キーボードを彼が拭いた。
お礼をしたかったのに、邪魔をしてしまった。
雪音にはドローンが身近ではないから、うまくイメージがわかなかった。
「自営業なんだけど、社長って言ったほうが女性うけするかな?」
「好きにしたら」
「雪音さんは興味がなさそうだね。社長はやめておく。法人化してないから会社じゃないし」
くすくすと閃理は笑った。
雪音が仕事から帰ると、彼はいつものように仕事部屋にこもっていた。パソコンで動画を編集しているのだ、と彼は以前に説明してくれた。
普段のお礼のつもりでコーヒーを淹れて彼の部屋に行った。
ドアをノックすると、どうぞ、と返事があった。
扉を開けた瞬間、黒い、と思った。パソコンと大型モニターのせいだった。
大きなモニターが何台もあるさまは、テレビ売り場のようだった。
三台のデスクトップパソコンが全部起動していた。二台のノートパソコンとタブレットは棚に置かれたままだ。
棚には十台ほどのドローンが置かれ、そのうちの一つだけが古びていた。別の棚にはトロフィーや盾などが飾られている。
「ただいま。コーヒー淹れたよ」
「おかえり。ごめん、帰ったの気が付かなくて」
はあ、と息をついて彼はゲーミングチェアの背にもたれる。
画面には雪音の通勤路にあるイルミネーションが輝いていた。
キーボードは透明で、七色に光っていた。
「お疲れ様」
光るキーボードっていいな、と思いながらコーヒーをデスクに置こうとした。
つるっと手が滑った。
「あ!」
ばしゃっとコーヒーがキーボードにかかる。
「ごめん!」
「大丈夫。タオル持って来て」
慌ててタオルをとって戻る。
雪音がデスクを拭き、キーボードを彼が拭いた。
お礼をしたかったのに、邪魔をしてしまった。