初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
「ごめんね、こんな話で」
「いいよ。来島部長といえばさ、彼の発案で来場者にアロマキャンドルを配ることになったんだ。浴槽とか決めるのって、やっぱり女性の意見が重要視されるじゃん。女性の心をおしゃれアイテムで掴もうとする、そういうとこセンスあるよね。性格は悪いけど」
「へえ」
返事をしながら、偶然だな、と思った。最近、企画会議でアロマキャンドルの案を出してボツになったばかりだ。室長がショールームに提案するとは言っていたが、倒れてしまって連絡はいってないはずだ。
アロマキャンドルなんて珍しいものではない。
初美は特に気にせず、話題は最近のコスメ事情へと移っていった。
仕事が終わった後に貴斗に呼び出され、蓬星は不機嫌に指定されたバーに向かった。
本来なら行く必要はない。だが、宣戦布告をしたこともあり、彼の動向は把握しておきたかった。
扉を開けると、グリーンの光が目に飛び込んできた。壁にアクリルをはめ込み、薄いグリーンを反射させている。店内はオーロラに包まれたように幻想的だった。
貴斗はバーのカウンターに、派手な美人とともに座っていた。蓬星と目が合うと、彼女は妖艶に微笑んだ。
茶色のロングヘアはゆるやかにウェーブして片側に垂らしていた。黒いワンピースは谷間が見えるほど胸元が開いていた。体にぴったりしたデザインでボリュームのある胸が強調され、ウエストの細さが際立っていた。スラリと伸びた足がなんともいえずセクシーだ。
「何の用だ」
「そんなに警戒するなよ」
貴斗はくくっと笑った。小馬鹿にするような笑いに、蓬星は無表情を返す。
「お前に女を紹介してやるよ」
「初めまして。梶木未麻です」
笑みを刻んだまま、彼女は名乗った。
蓬星は嫌悪に顔を歪めた。
「帰る」
「あら、ひどいわ」
未麻はするりと蓬星に寄り、腕をからませる。指先にはストーンを飾ったピンクのネイルがきらめいていた。
「いいよ。来島部長といえばさ、彼の発案で来場者にアロマキャンドルを配ることになったんだ。浴槽とか決めるのって、やっぱり女性の意見が重要視されるじゃん。女性の心をおしゃれアイテムで掴もうとする、そういうとこセンスあるよね。性格は悪いけど」
「へえ」
返事をしながら、偶然だな、と思った。最近、企画会議でアロマキャンドルの案を出してボツになったばかりだ。室長がショールームに提案するとは言っていたが、倒れてしまって連絡はいってないはずだ。
アロマキャンドルなんて珍しいものではない。
初美は特に気にせず、話題は最近のコスメ事情へと移っていった。
仕事が終わった後に貴斗に呼び出され、蓬星は不機嫌に指定されたバーに向かった。
本来なら行く必要はない。だが、宣戦布告をしたこともあり、彼の動向は把握しておきたかった。
扉を開けると、グリーンの光が目に飛び込んできた。壁にアクリルをはめ込み、薄いグリーンを反射させている。店内はオーロラに包まれたように幻想的だった。
貴斗はバーのカウンターに、派手な美人とともに座っていた。蓬星と目が合うと、彼女は妖艶に微笑んだ。
茶色のロングヘアはゆるやかにウェーブして片側に垂らしていた。黒いワンピースは谷間が見えるほど胸元が開いていた。体にぴったりしたデザインでボリュームのある胸が強調され、ウエストの細さが際立っていた。スラリと伸びた足がなんともいえずセクシーだ。
「何の用だ」
「そんなに警戒するなよ」
貴斗はくくっと笑った。小馬鹿にするような笑いに、蓬星は無表情を返す。
「お前に女を紹介してやるよ」
「初めまして。梶木未麻です」
笑みを刻んだまま、彼女は名乗った。
蓬星は嫌悪に顔を歪めた。
「帰る」
「あら、ひどいわ」
未麻はするりと蓬星に寄り、腕をからませる。指先にはストーンを飾ったピンクのネイルがきらめいていた。