初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
あのまま、あの場所で待っていたほうが良かったのかな。
思った直後、雪に足をとられてころんだ。
立ち上がろうとするが、力が入らなかった。
もうさすがにダメかな。
伸ばした手が、雪を掻いた。
あきらめちゃだめだ。
そう思うのに、意識がかすみ始める。
その目に、なにか光るものが見えた。
最期に見えるとかいう光かな。あの光に向かえば、天国に行けるのかな。私、普通に生きてきたよね。天国に行けるよね?
脳裏に蓬星の優しい微笑が浮かぶ。
こんなときでも、やっぱり彼が好きだ。最後に彼に会いたいと思ってしまった。
ああ。こんなことなら、蓬星さんに会いに行けば良かった。会って、嘘つき! って怒れば良かった。あれ以上傷つくのが嫌で、避けていた。
だが今、会いたいのは彼以外にはいない。
そう思う初美の目に、光がどんどん大きくなる。
スノーモービルだ。それに乗るのは蓬星だ。
来てくれた。思うと同時に、違う、と思う。そんな都合のいいこと、あるわけない。
最期に神様が幻を見せてくれたのかな。
「初美さん、しっかりして!」
声まで聞こえた。彼がスノーモービルを置いて初美を抱き起こす。
彼の手が初美の手を握った。
温かくて、涙が溢れた。
凍ったまつげについた雪が溶けて、一緒に流れた。頬を伝うときにはもうすでに冷たい。
「蓬星さん……会えて良かった」
初美は言い、意識を手放した。
「ダメだ、初美さん!」
蓬星の声が、雪原に響いた。
思った直後、雪に足をとられてころんだ。
立ち上がろうとするが、力が入らなかった。
もうさすがにダメかな。
伸ばした手が、雪を掻いた。
あきらめちゃだめだ。
そう思うのに、意識がかすみ始める。
その目に、なにか光るものが見えた。
最期に見えるとかいう光かな。あの光に向かえば、天国に行けるのかな。私、普通に生きてきたよね。天国に行けるよね?
脳裏に蓬星の優しい微笑が浮かぶ。
こんなときでも、やっぱり彼が好きだ。最後に彼に会いたいと思ってしまった。
ああ。こんなことなら、蓬星さんに会いに行けば良かった。会って、嘘つき! って怒れば良かった。あれ以上傷つくのが嫌で、避けていた。
だが今、会いたいのは彼以外にはいない。
そう思う初美の目に、光がどんどん大きくなる。
スノーモービルだ。それに乗るのは蓬星だ。
来てくれた。思うと同時に、違う、と思う。そんな都合のいいこと、あるわけない。
最期に神様が幻を見せてくれたのかな。
「初美さん、しっかりして!」
声まで聞こえた。彼がスノーモービルを置いて初美を抱き起こす。
彼の手が初美の手を握った。
温かくて、涙が溢れた。
凍ったまつげについた雪が溶けて、一緒に流れた。頬を伝うときにはもうすでに冷たい。
「蓬星さん……会えて良かった」
初美は言い、意識を手放した。
「ダメだ、初美さん!」
蓬星の声が、雪原に響いた。